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交通事故の過失割合は誰がどうやって決めるの?

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故において、過失割合を決めることはとても重要なことです。 過失割合とは、事故の責任(加害者)と事故の責任(被害者)を割合で表したものです。「過失割合8対2」「過失割合25対75」など、合計が10ないし100になるように表します。 被害者にとって、ご自分の過失割合がどのくらいになるのかは、非常に重要なポイントです。 なぜなら、被害者が受け取れる損害賠償金は被害者に付いた過失割合に応じて減額されてしまうからです。 つまり、被害者に大きな過失割合が付けば、それだけ受け取れる損害賠償金が少なくなってしまいます。 では、この重要な「過失割合」は誰が決めるのでしょうか? この記事では、過失割合の決め方や交渉のポイントなどについて解説していきます。

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交通事故の過失割合は誰が決める?

交通事故の過失割合は、“被害者(または被害者の代理人)”と“加害者(または加害者の代理人)”が話し合って決めます。ここで指す“代理人”とは一般的に、加入する任意保険会社の担当者や弁護士のことです。 過失割合は、慰謝料や損害賠償金と同じように示談交渉で決められます。示談交渉は加害者・被害者自身で行うこともできますが、一般的には、代理人として保険会社の担当者同士が交渉していきます。 加害者は、代理人として保険会社の担当者を立てることが多く、過失割合についても相手方保険会社から提示されることがほとんどです。 この提示された過失割合について、承諾するかどうかの判断はあくまで被害者本人の自由となりますが、納得がいかない場合は安易に了承することは避けましょう。 相手方が提示する過失割合は決定ではありませんので、納得できない場合は交渉することができます。

警察が過失割合を決めるというのは誤解

過失割合は警察が決めると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、警察が過失割合を決めることはありません。 警察は事故現場の状況について捜査し、資料にまとめますが、「民事不介入の原則」があるため、警察は、示談や損害賠償請求といった民事上の手続きに影響を与える「過失割合」の判断・決定には一切介入できない決まりになっています。 そのため、適切な過失割合を主張するには、警察による実況見分に協力し、示談交渉前に実況見分調書や事故証明書などの書類を取り寄せておくことが大切です。

一般的には保険会社が交渉を代行する

過失割合を決める示談交渉においては、一般的には加害者・被害者双方が任意保険会社の担当者を代理人として示談交渉していきます。 保険会社の担当者を代理人とする場合は、保険に付帯している「示談代行サービス」を使用することができるため、費用がかからないことも大きなポイントです。 相手方の保険会社は、過失相殺を狙って、被害者側の過失を多めに見積もる可能性があります。そのため、交通事故の知識が無い被害者が交渉するよりも、交通事故や示談交渉の経験が豊富な保険会社の担当者に示談交渉を任せた方が有利に働く場合もあります。 もっとも、もらい事故や追突事故など、被害者に過失が付かない事故は、保険会社の「示談代行サービス」を使用することができません。その場合は、弁護士に相談しましょう。 ※過失相殺とは…被害者側にも過失が認められる場合に、その割合分被害者が受け取れる損害賠償金が減額されること

自分で交渉をすることもできるが難しい

過失割合を決める示談交渉は被害者自身でも行うことができますが、以下の点で難航するおそれがあります。

  • 相手方保険会社の担当者の知識が豊富であるため、被害者が根拠をそろえて交渉しても反論される
  • 相手方保険会社は豊富な交渉経験をもとにした交渉術を持っている

このように、過失割合についての示談交渉には、その根拠となる証拠と巧みな交渉力が必要となります。これらは一般の方では難しく、相手方保険会社が被害者自身の主張を受け入れてくれることは少ないでしょう。 よって、適切な過失割合を主張するためには代理人を立てることをおすすめします。 交通事故に詳しい弁護士であれば、相手方保険会社に負けない豊富な知識とノウハウ、巧みな交渉力があり、法的な観点から証拠を基に適切な過失割合を主張していくことが可能です。

交通事故の過失割合はどうやって決める?

過失割合は、以下の順で決めていきます。

① 基本の過失割合を決める
② 修正要素を加える

具体的にどのようなことを行うのでしょうか、見ていきましょう。

【基本の過失割合を決める】

交通事故では事故類型ごとに基本的な過失割合が決められています。 そのため、まずは該当する事故類型を探し、基本的な過失割合を確認することになります。 こうした基本の過失割合は以下の書籍で確認が可能です。

  • 「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)
  • 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称・赤い本)

【修正要素を加える】

基本の過失割合は大まかに事故類型ごとに決まっているものに過ぎません。実際の事故には、事故状況や被害者の属性から過失割合を加算または減算させる要素があります。 修正要素には、以下のようなものがあります。

  • わき見運転
  • 酒気帯び運転
  • 携帯電話で通話しながらの運転 など

過失割合の決め方と修正要素については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

過失割合が決まる流れ

交通事故の過失割合は、具体的な損害が確定してから決まります。 実際に「物損事故」と「人身事故」に分けてみていきましょう。

【物損事故の場合】

  1. 1. 事故発生
  2. 2. 車両を修理に出す
  3. 3. 修理の見積もりを出す
  4. 4. 損害の確定
  5. 5. 示談交渉開始
  6. 6. 示談成立

【人身事故の場合】

  1. 1. 事故発生
  2. 2. 治療開始
  3. 3. 完治または症状固定
  4. 4. 後遺障害等級認定
  5. 5. 示談交渉開始
  6. 6. 示談成立

過失割合は示談交渉で決めるものなので、物損事故でも人身事故でも損害が確定したら、示談交渉に移り過失割合を話し合います。 過失割合がいつ決まるかについては、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

過失割合を決める交渉のポイント

相手方から提示された過失割合に納得できない場合は、安易に承諾せず示談交渉で過失割合変更の主張をしていきます。 過失割合変更の交渉を成功させるポイントを見ていきましょう。

相手に過失割合の根拠を聞く

なぜその過失割合になったのか、相手に過失割合の根拠を書面で提出してもらいましょう。 そうすることで、こちらが何を根拠に過失割合の変更を主張すれば良いのかが見えてきます。 具体的には、以下の3点を確認してみましょう。

  • 基本過失割合は、どの事故類型のものを用いたか
    ⇒基準にする事故類型が不適切な場合は、もっと実際の事故に似ている事故類型の基本過失割合を主張する
  • どんな修正要素を採用し、修正要素にどのくらい過失割合を変動させたか
    ⇒見落とされている修正部分がある場合や、修正要素による過失割合の増減額が正しくない場合はその旨を主張する
  • 事故時の状況は、どんな資料・証言から確認したか
    ⇒加害者の証言のみから事故状況を確認していた場合は、より客観性のある書類などを提示する

事故状況を示す証拠を提出する

相手方が主張する事故状況が間違っている場合は、以下の証拠を提示しながら正しい事故状況を主張しましょう。

  • ドライブレコーダーの映像
  • 事故現場の監視カメラの映像
  • 事故現場の写真
  • 実況見分調書、その他警察による刑事記録

そのうえで、参考にすべき事故類型や反映させるべき修正要素を改めて検討し直します。 こちらが反論できる根拠がそろったら、相手方と交渉していきます。交渉でまとまらない場合は、調停や裁判、ADRなどを利用して紛争解決を目指すことも可能です。 しかし、これらを一般の方が行うことは大変なことでしょう。話し合いが難航する場合や損害額が大きい場合などは、おひとりで悩まず、弁護士にご相談ください。

交渉を弁護士に依頼するメリット

交渉はご自身でも行うことができますが、以下に当てはまる場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

  • 証拠が少ない場合
  • 駐車場内の事故の場合
  • 相手方保険会社が主張に耳を傾けてくれない場合 など

弁護士であれば交通事故に詳しいだけでなく、交渉にも慣れているため、法的知識と巧みな交渉力で保険会社では見落としがちな根拠を探すことができます。証拠を基に法的観点から正しい過失割合を主張・立証していくことが可能です。 また、保険会社は裁判に発展することをおそれているため、弁護士が介入することで、保険会社にもこちらの主張が通りやすくなります。 弁護士に依頼することは、当然ながら弁護士費用がかかるため、相談をあきらめている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご自身やご家族が加入する任意保険や火災保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば弁護士相談料・弁護士費用を上限まで保険会社が負担してくれるため、弁護士費用を気にせず弁護士に依頼することができます。まずは、ご自身やご家族の保険に弁護士費用特約が付帯していないか、確認しましょう。 弁護士費用特約については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

弁護士による解決事例の紹介

次項からは、弁護士法人ALGが過失割合を修正した解決事例をご紹介します。 ホームページには、この他にも多くの解決事例を掲載していますので、ぜひご参考ください。

駐車場出入り口の事故で2:8で提示された過失割合を5:0に修正した事例

【事案の概要】

依頼者運転車両が駐車場から出ようと、出口付近で停止したところ、駐車場内の駐車スペースに停車しようとした相手方自動車が接触したという事故です。 相手方から提示された過失割合について可能な限り交渉してほしいと当法人にご依頼いただきました。

【担当弁護士の活動】

担当弁護士が交渉を進めたところ、相手方保険会社からは2(相手方)対8(依頼者)以上の過失割合は認められない旨の回答がなされました。 そのため、事故状況に関する追加の証拠を集めたうえで、改めて過失割合について相手方保険会社と交渉を重ねました。

【結果】

最終的には5(相手方)対0(依頼者)という過失割合で合意に至りました。

事故状況について被害者の主張を認めさせ、過失割合を0:10から9:1に修正した事例

【事案の概要】

片側2車線の道路において、相手方が路外に出るために右折したところ、後方から直進していた依頼者の自動車と衝突した事故です。相手方は依頼者過失を100と主張しましたが、依頼者は相手方の方が過失は大きいと考えて当事務所にご相談されました。

【担当弁護士の活動】

本件は、追突事故とみるのか、右折車と直進車の事故とみるのかによって大きく過失割合が変わるものでした。そこで、過失割合に関して、意見書を作成して過失割合を1(依頼者)対9(相手方)と主張しました。

【結果】

意見書の提示後、相手方保険会社に検討を促し、交渉を進めたところ、相手方保険会社がこちらの主張を認めました。その結果、過失割合1(依頼者)対9(相手方)を前提に合意を得ることができました。

経験豊富な弁護士に過失割合の交渉を任せてみませんか? 弁護士法人ALGにご相談ください

過失割合を決めるのは、警察ではなく当事者です。過失割合は損害賠償金に大きな影響を与えるため、正しい過失割合を交渉することが大切です。 しかし、正しい過失割合を主張するには、根拠や証拠が必要で、交渉力のある相手方保険会社を相手にご自身で交渉していくことは困難でしょう。 そこで、過失割合に納得できない場合は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。 私たちは交通事故に精通した弁護士が多数在籍しており、交通事故の知識だけでなく多くの交通事故事案の解決実績を有しています。 豊富な経験や法的知識から、相手方に正しい過失割合を主張・立証し、適切な損害賠償金を受け取れるよう尽力いたします。 過失割合に納得がいかない、過失割合を修正したいとお考えの方は私たちに一度ご相談ください。

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