インターネット上の口コミやランキングは、弁護士選びの判断材料のひとつですが、信用しすぎるのは危険です。 口コミやネット上の評判は、あくまで個人の主観的な感想に過ぎないこと、 ランキングについても、評価基準があいまいで信ぴょう性に欠けるものも少なくないためです。 口コミサイトやランキングサイトは広告目的で作成されたサイトであることも多いので、どこまで信用できるのかを慎重に判断しなければなりません。 ただ個人の主観的な感想といっても、実際に弁護士に依頼した方の評価・評判であれば、参考となるポイントを押さえることで、ご自身にあう弁護士を選ぶヒントになります。 そこで、口コミやランキングを参考にする際の注意点とポイントを、次項でそれぞれ詳しくみていきましょう。

口コミやランキングの注意点

交通事故に強い弁護士を探すときに、インターネット上の口コミやランキングを参考にするうえで、具体的にどのようなことに気を付けるべきか、注意点をまとめましたのでご参考ください。

《口コミやランキングを参考にするときの注意点》

• 口コミは全員依頼者が投稿したものとは限りません。また、あくまで個人の感想ですので、鵜呑みにせず、参考程度にとどめましょう。
• 良い評判も悪い評価も、主観的な感情が含まれている場合があるので、客観的な情報と照らし合わせて判断することが大切です。
• 基本的に全く同じ事件は存在しないので、弁護士をランク付け・比較することはむずかしいことを前提に、参考程度にとどめましょう。

口コミを見る際に参考となるポイント

弁護士選びで口コミを見るにあたって、「弁護士に依頼するメリット」や「弁護士に求めるもの」、「交通事故を扱う弁護士になにが必要なのか」をふまえて、次に挙げるポイントを参考にするとよいでしょう。

《口コミを参考にするときのポイント》

• 保険会社とのやりとり・示談交渉・手続など、どのような対応を任せられるのか
• 知識や経験が豊富で、的確なアドバイスがもらえるか
• 連絡や手続を滞りなく行ってもらえるか
• 信頼関係の構築にむけて、円滑なコミュニケーションを図れるか
• 問題解決能力があって、受け取れる示談金（損害賠償金）が増額したか

口コミやランキングで「依頼してみたい」と思える弁護士・弁護士事務所をみつけたら、その弁護士・事務所をよりよく知る必要があります。 そのためには、「なにを根拠に交通事故に強い弁護士というのか」、「交通事故を扱う弁護士になにが必要なのか」を理解しておくことが大切なので、次に挙げる4点に留意して、それぞれのホームページや電話で確認してみましょう。

《口コミ・ランキングの次に確認してほしいこと》

• ① 交通事故に特化している部署があるか？
• ② 医学的知識があるか？
• ③ お客様の声や解決事例を細かく掲載しているか？
• ④ 事務所の対応地域が全国か？

それぞれ、次項で詳しくみていきましょう。

交通事故を専門に取り扱う部署があるか？

交通事故に特化している部署がある弁護士事務所は、交通事故問題を取り扱った件数・経験が豊富であることが多いです。 弁護士や法律事務所の多くは、交通事故だけでなく、離婚・相続などさまざまな事件を取り扱っているので、交通事故の経験が豊富であるとは限りません。 一方、交通事故専門の部署がある弁護士事務所であれば、経験も解決実績も豊富な弁護士に依頼できる可能性が高まります。 もっとも、実際に交通事故に特化している部署のある弁護士事務所は多くありません。 弁護士は「○○事件の専門と名乗ってはいけない」という規制があるので、「交通事故専門チーム」というあいまいな表現をホームページ上で見かけることがあります。 「交通事故専門チーム」と記載があるからといって、「交通事故に強い」「交通事故事件に詳しい」とは限らないので、ほかの情報と合わせて慎重に判断するようにしましょう。

医学的知識があるか？

交通事故が原因でケガを負った場合、示談交渉や後遺障害等級認定の申請において、医学的知識が必要になる場面が多くあります。 たとえば、交通事故の損害賠償請求で通院期間が争われたり、後遺障害等級の認定においてケガと事故との因果関係が疑われたりした場合、相手を納得させるために医学的な根拠に基づいた主張・立証が必要になります。 事故直後から医学的知識のある弁護士に相談・依頼していれば、こうした争いに備えて、先を見据えた的確なアドバイスを受けることができます。 では、どのように医学的知識のある弁護士を探せばよいのでしょうか？ 一般的には、後遺障害等級認定の経験が豊富な弁護士・弁護士事務所を探すといった方法があります。

お客様の声や解決事例を細かく掲載しているか？

お客様の声や解決事例を細かく掲載しているかどうかは、重要な判断材料となります。 お客様の声は、手書きのハガキやアンケートなどの掲載があれば、より信頼性が高まります。 また、弁護士がどのような問題を、どのように解決に導いたのか、具体的な解決事例が掲載されているかどうかもポイントです。 相談件数が多くても、解決事例がなければ実績とはいえず、確認すべきは「解決実績の件数」です。多くの事例の解決実績がある弁護士・弁護士事務所に依頼できれば、納得できる結果が得られる可能性が高まります。 ご自身と似たような事情の交通事故を取り扱った経験はないか、事例を探してみるのもおすすめです。

事務所の対応地域が全国か？

全国対応の弁護士事務所かどうかも、弁護士選びのひとつの指標としてご参考ください。 全国に支店のある事務所であれば、支店同士でノウハウを共有し合い、どの地域でも一定の水準が期待できます。 事務所規模が大きければ、取り扱い件数も豊富で個人事務所では対応がむずかしい案件も、解決に向けたサポートが受けられる可能性があります。 近くに弁護士事務所が少ない地域の方に向けて、電話による相談を受け付けている事務所もあるので、一度問い合わせてみるのもよいでしょう。

ご自身にあった弁護士を選ぶには、インターネット上の情報だけでは不十分です。 電話の対応を確認したり、無料相談等を利用したりして、直接弁護士と話をする機会を設けてみるのもおすすめです。

無料相談等を受けるポイントについて、次項でご紹介していきます。

無料相談等を受けてみる

インターネット上で「相談してみたい・依頼してみたい」と思える弁護士・弁護士事務所が見つかったら、無料相談等を利用して、弁護士と直接話してみることをおすすめします。 口コミだけでなく、弁護士と話して感じたご自身の直感も大切にしましょう。

《無料相談等で注目すべきポイント》

無料相談等を利用するとき、弁護士に依頼して後悔しないか？を、次のポイントから判断してみるとよいでしょう。

• 説明がわかりやすいか
• 困っていることに対して、的確なアドバイスをくれるか
• コミュニケーションが円滑に行えるか
• リスクや不利な事情についても説明があるか
• 話しをしていて違和感がなく、信頼関係を構築できると感じられるか
• 料金体系が明確か

事務スタッフとやりとりをしてみる

事件を依頼する指標として非常に大事なのは、事務スタッフがしっかりしているかという点です。 多くの弁護士は、裁判に出かけたり病院や現場検証に出かけたりと外出することが多くあります。 そのため、依頼者は、事務局とコンタクトをとることも少なくありません。 ここで、仮に事務局が全く事案を把握できていない場合、依頼者は事務所に連絡をしても、要望が正確に弁護士に伝わらず放置されてしまう等、円滑なコミュニケーションが取れない可能性があります。 受付や事務局スタッフの教育ができている事務所で、弁護士の能力が低いということはなかなか考えづらいので、弁護士事務所を選ぶ一つの要素だと思います。

残念ながら、現在インターネット上には、宣伝広告目的のホームページやランキング等を表示したポータルサイトにあふれており、本当の意味で交通事故に強い弁護士事務所がどこなのかは、相談者からわかりづらくなっていると懸念しています。 事務所の交通事故用のホームページだけではなく、オフィシャルサイトや他分野のホームページ等も見て、本当に信頼・信用できそうなのかをチェックする必要があると思います。 また、法律は弁護士だから理解できるという特殊な分野ではありません。弁護士に相談し話を聞いたけれども理解ができない・納得できないという場合は、他の弁護士の意見も聞いてみるべきです。 口コミやランキングに惑わされず、法律相談をして自分の信頼できる法律事務所をお探しください。