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交通事故の過失割合を9対1→9対0にできる?

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故で、過失割合が9対0とはどういうことなのだろう?過失が合わせて10にならないため、このような疑問が生じることも当然かと思います。過失割合が9対0になる場合とはどのようなケースなのか、メリット・デメリットは何なのか、本記事で確認していきましょう。

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交通事故の過失割合を9対1→9対0にできる?

依頼者の希望どおり片面的価格賠償による解決がなされた事例

【事案の概要】

依頼者の運転する自動車と、相手方の運転する自動車が、互いに直進中に交差点において衝突した事案です。※相手方の道路側に一時停止規制がありました。

  • 依頼者は相手方が一時停止した様子を見て、交差点を直進
  • 相手方は前方注視義務を怠り交差点に進入
  • 依頼者の車両の左後方部に衝突

【相手方保険会社の主張】

過失割合 相手方:依頼者 = 9 対 1

※基本過失割合(東京地裁民事交通訴訟研究会(2014)『別冊判例タイムズ38-民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』判例タイムズ社)に基づく主張

【依頼者の主張】

相手方の物損に対して1割の責任を負い、自らの任意保険会社を利用して負担額を支払った場合、保険の等級が下がり、翌年から保険料が上がってしまう。

→納得がいかない!!
⇒弁護士法人ALGにご依頼をいただきました。

【弁護士法人ALGの弁護士の対応】

相手方保険会社に対し、以下の点に関して強く主張し、過失割合について交渉しました。

  1. ① 本件交通事故の衝突態様、衝突箇所、現場の見通し、交通事故当時の交通状況等を詳細に伝え、基本過失割合に基づいても、特段の事情が認められるべきであること
  2. ② 相手方が法定された前方確認を行っていれば、本件事故が発生していないこと

【結果】

過失割合 相手方:依頼者 = 9 対 0

依頼者の受け取ることができる損害賠償金は9割となるものの、依頼者が相手方に損害賠償金を支払う義務はなくなりました。 ⇒依頼者の任意保険の等級を下げることなく物損を解決できたことにご満足いただける結果となりました。

交通事故の過失割合を9対0にしたいなら、弁護士に依頼しよう!

交通事故の過失割合を9対0にしたいなら、弁護士に依頼しよう!

自動車同士の事故の場合、双方に過失があると考えられることが多く、前項でご紹介した解決事例のように、客観的に見てもご依頼者様に過失がないと思えるような事案でも、1割の責任があるとして保険会社から「9対1」の過失割合を提示されることは珍しくありません。 交渉次第では、過失割合を「9対1」から「9対0」にできることはあります。しかし、相手方保険会社も、基本過失割合(過去の裁判例の類似事案に当てはめた相場)に基づいて過失割合を提示しているため、それを覆すのは容易ではありません。自身が主張する過失割合を裏づける状況証拠を集めて、交渉のプロである保険会社と交渉しなければなりませんが、それを一個人で行うには相当な労力と交通事故に関する知識が必要です。 その点、弁護士は交渉の経験も知識も豊富です。ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言等、有効な状況証拠を収集し、基本過失割合から修正されるべき点を的確に主張できます。 それにより、保険会社から過失割合が「9対1」と提示されたとしても、交渉の結果「9対0」にできる場合もありますので、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

交通事故の過失割合9対0ってどういうこと?

交通事故の過失割合9対0とは?

過失割合とは、交通事故当事者双方の責任の比重に応じて、双方がそれぞれに加入している任意保険会社が協議し、当事者双方の合意により決定する過失の割合のことです。原則、過失割合は双方の過失を示す数字を足すと「10」になるのですが、解決事例のように交通事故当事者のどちらか(たいていの場合過失割合の少ない方)が過失割合について納得がいかない場合に、「9対0」とするような解決案もあります。 では、過失割合が「9対0」となった場合、どのようなことになるのか、1割はどこにいってしまうのかについて、解決事例をもとにご説明します。 過失が9割と認められた相手方は、当然依頼者の損害賠償金の9割を支払うことになります。一方、依頼者の過失が「0」になるのかといえば、そうではありません。相手方の過失が9割ということは、依頼者にも1割の過失があることを認め、相手方に対する1割の損害賠償請求権を放棄することになります。「0」になるのは、相手方に支払う損害賠償金です。

交通事故の過失割合9対0の考え方

交通事故の過失割合9対0の考え方

過失割合について、当事者双方が合意できない場合の妥協策として、過失割合を「9対0」とすることがあります。前項でご説明したように、過失「0」となった側は損害賠償金を支払う義務がなく、相手方のみが損害賠償金を支払うことになります。これを、「片賠(片側賠償の略)」といいます。 片賠は、当事者双方の妥協・譲歩によって成立します。

「9」→ 1割の損害賠償請求権を放棄しなければならないため、相手方から得られる損害賠償金は少なくなるが、過失を認めさせることはでき、自己負担を1割減らすことができる。

「0」→ 1割の過失を認めなければならないため、相手方から得られる損害賠償金は少なくなるが、自己負担はなく、保険の等級を下げることもない。

本来であれば「10対0」を主張したい事案でも、双方が主張を譲らなければ、早期解決はかなわず、長期化すればその分コストもかかってしまいます。そういったことを避けるために、任意保険会社が片賠を提案してくることがあります。 また、「9対0」の場合には、「0」の側にも1割の過失が認められるので任意保険会社同士での交渉になりますが、「10対0」の場合には、「0」の側に過失は認められないため、任意保険会社が交渉の場に立つことはできません(非弁行為にあたるため)。したがって、ご自身で相手方保険会社と示談交渉を進めなければならないのです。ご自身で示談交渉を進めることがご負担ならば、片賠という妥協策を受け入れることも選択肢の一つとなります。

交通事故の過失割合9対0のケース

例:A車が、追越しが禁止される交差点にて、前を走るB車を右方向から追い越そうとしたところ、B車が右折したため、衝突しました。A、Bに発生した損害額は以下のとおりとします。

【Aに発生した損害】 200万円
【Bに発生した損害】 50万円

この場合の基本過失割合は、A:B=9対1とされています。自動車同士の事故の場合、当事者双方に注意義務があるとされるため、客観的に見ればBには過失がないように思えても、過去の裁判例に照らし合わせて、Bにも1割の過失が認められるからです。

過失割合についてBは納得ができないでいたところ、保険会社から妥協策として、過失割合「9対0」の提案をされました。この提案を受け入れると、

【AがBに対して支払う損害賠償金額】 50万円×90%=45万円
【BがAに対して支払う損害賠償金額】 200万円×0%=0円

Bは1割の過失を認めることになりますが、BがAに対して支払う損害賠償金はなくなります。また、Aから得られる損害賠償金の減額が5万円だったため、Bは自分の財産から補填することが可能になり、任意保険の等級を下げることなく解決ができます。

交通事故の過失割合9対1の場合

交通事故で過失割合9対1の場合、大幅に結果が変わる?

前項の例で、基本過失割合である「9対1」のまま示談が成立した場合、損害賠償金額はどのように変わるでしょうか。

【AがBに対して支払う損害賠償金額】 50万円×90%=45万円
【BがAに対して支払う損害賠償金額】 200万円×10%=20万円

この場合、過失相殺となるため、実際にBが手にする金額は、45万円-20万円=25万円になります。「9対0」の場合と比べると、手にする金額は20万円も減額することになります。Bは自身の損害の半分である25万円を、自身の財産か自身の保険で補填することになります。 また、この例において、過失割合が多いAの方が、過失割合の少ないBよりも、交通事故によって発生した損害が大きいことに注目してください。相手方の自動車が新車であったり高級車であったりして、相手方の損害が大きい場合には、過失割合が1割でも、相当額の賠償責任を負うことになります。 このように、過失割合「9対1」の場合には、過失相殺の影響で手に入る損害賠償金額が大きく変わり、大幅に損をしてしまうこともあります。詳細は下記リンクページをご覧ください。

交通事故の被害に遭ったら、弁護士に依頼しよう

過失割合が影響するのは物損だけではなく、人身傷害で生じる休業損害、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料、逸失利益等様々あるため、自身の過失割合を減らすことができれば、最終的に獲得できる損害賠償金額は大きく変わることになります。 しかし、交通事故の過失割合は過去の裁判例に基づいて相場が決まっており、知識がなければ保険会社との示談交渉をスムーズかつ適確に進めるのは難しいでしょう。弁護士に依頼すれば、蓄えた知識と経験で、示談交渉の様々な面においてサポートを受けることができ、損害賠償金額の増額可能性を高めることができます。 自身が加入する任意保険に弁護士特約が付帯していれば、無料で弁護士に相談することができます。弁護士費用特約を利用することによって、保険の等級が下がることも、保険料が上がることもありません。 また、弁護士費用特約が付帯していなくても、人身傷害における損害賠償が発生する場合には、弁護士に依頼すれば、弁護士費用を差し引いても、獲得できる損害賠償金が増額する可能性がありますので、ぜひご相談ください。

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