交通事故慰謝料が振り込まれるまでの期間│早く適切な金額で支払いを受ける方法
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
交通事故に遭って示談が成立した場合、賠償金が支払われます。では、賠償金はどのような流れで、いつ振り込まれるのでしょうか。 賠償金は示談後1~2週間後に振り込まれることが通常です。もっとも、賠償金の一部の費目は、それより早く受け取れる場合もあります。 ここでは交通事故の示談や賠償金振込までの流れ、示談前に賠償金を受け取る方法などについて解説していきます。ご参考ください。
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目次
慰謝料の支払いは示談成立から1~2週間程度
慰謝料は示談成立から通常1~2週間後に支払われます。 支払いまでの手続きや日数は、以下のとおりです。
【示談成立から慰謝料などの支払いまでの流れ】
- 1. 保険会社から被害者に示談書が送付される(3日程度)
- 2. 示談書の内容を確認し、問題がなければ署名・押印して返送する(3日程度)
- 3. 保険会社が内部的な支払手続を行い、示談金が支払われる(3~7日程度)
示談成立(賠償金額の合意が成立した)後にも、示談書の取り交わしや保険会社の事務手続きなどが必要になるため、慰謝料の支払いには少し時間がかかります。 また、示談書を返送すると原則として示談のやりなおしや項目の追加等はできません。示談書が届いたら必ず内容を確認し、納得した上で署名・押印しましょう。
示談成立までの期間
示談成立までの目安は、症状固定日から1~3ヶ月程度です。もっとも、具体的事案によって変化します。たとえば、物損事故や軽微な事故(3ヶ月程度で治療が終了する事案等)では、多くの事案で事故から半年程度で示談が成立しています。 他方、後遺症が残った事案や死亡事案では、症状固定日などから示談成立に至るまで半年~1年程度かかることもあります。 後遺症が残ると、なぜ示談成立までに時間がかかってしまうのでしょうか。 症状固定時に後遺症が残った場合、「後遺障害等級認定」の申請を行うことができます。その結果が「非該当」の場合や、望むものより低い等級の場合には、「異議申立て」を行うこともできます。 これらの手続きには時間を要することから、後遺症が残ると示談交渉に時間がかかることがあるのです。
交通事故発生から示談成立までの流れ
交通事故の発生から示談交渉までの基本的な流れは以下の通りです。
- 1. 交通事故発生
- 2. 交通事故直後の対応
- 3. 治療
- 4. 完治または症状固定
- 5. 後遺症が残った場合は後遺障害等級認定
- 6. 示談交渉
- 7. 示談成立
- 8. 示談不成立の場合は裁判やADR等へ移行
示談成立までの流れや被害者がすべきことについて下記で詳しく解説しています。ご参考ください。
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示談前に慰謝料などの賠償金を受け取る方法
慰謝料などの賠償金を示談前に受け取ることができる場合があります。 交通事故の被害者は病院までの通院費や治療費の支出を余儀なくされるうえ、仕事を休んで減収の負担を強いられる場合もあります。また、後遺症が残ると治療が長引き、生活がより苦しくなることもあるでしょう。 そのため、示談成立前に慰謝料などの損害賠償金を受け取りたいと思う方もいるかと思います。 以降では示談成立前に賠償金を受け取る方法について解説していきます。
自賠責保険の制度
示談前に賠償金を受け取れる自賠責保険の制度として、①被害者請求②仮渡金請求の2つがあり、以下でそれぞれについて解説していきます。 ①被害者請求の場合、治療費、慰謝料、休業損害等の傷害部分の賠償額については120万円が限度となるので注意が必要です。
被害者請求
被害者請求は、交通事故の被害者が自ら加害者側の自賠責保険会社に対して、賠償金の支払いを請求できる制度です。被害者が自ら必要資料を準備しなければならないので、手間がかかることが難点です。 また、限度額120万円に達するまでは何回でも請求が可能です。
仮渡金請求
仮渡金請求とは、交通事故によって怪我の治療や当面の生活費の工面が必要な場合に自賠責保険に一定額を一度だけ請求できる仕組みです。仮渡金の額は怪我の程度によって決められているため、比較的スムーズに支払いを受け取れるというメリットがあります。
任意保険会社(加害者側)の制度
加害者の任意保険から賠償金を示談前に受けとる方法として、「一括対応」と「内払い対応」の2つがあります。 以下では、それぞれについて解説していきます。
一括対応
加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社が治療費を医療機関に直接支払ってくれるケースが多いです。この対応を「一括対応」といいます。 任意保険会社は治療費等を払った後、自賠責保険が負担するべき部分については自賠責保険に請求します。
内払い対応
任意保険会社との交渉次第では、治療費以外の損害賠償も示談成立前に支払いをしてもらえる可能性があります。この保険会社の対応を「損害賠償金の内払い」といいます。 なお、内払いは、損害賠償金の前払いですので、最終的な示談金からは差し引かれます。
治療費以外に都度支払ってもらえるもの
治療費以外にその都度支払ってもらえるものとして、通院交通費や休業損害があります。 休業損害とは、交通事故の影響により仕事を休まなければならなくなり、収入が減ったことに対する補償のことです。 一般的には示談成立後、休業損害を含めた損害賠償金が支払われます。しかし、被害者が仕事を休業した場合に示談交渉が長引くと生活が苦しくなってしまうため、多くの保険会社が月ごとの休業損害の支払いに応じてくれます。 なお、この支払は内払い、すなわち、損害賠償金の前払いです。そのため、被害者に過失があった場合は示談交渉の慰謝料の金額で調整されるので注意しましょう。
損をしないスムーズな示談交渉のポイント
示談交渉が始まると相手方保険会社から示談金の案が提示されます。 相手方保険会社の提示額をそのまま受け入れると、被害者が本来受け取るべき適正な金額を受け取れない可能性もあります。 損をしない示談交渉のポイントについて以下で詳しく解説していきます。
慰謝料を弁護士基準で算出する
慰謝料や損害賠償を算出するには3つの基準があります。
- ①自賠責基準…被害者救済のための最低限の基準
- ②任意保険基準…各任意保険会社が独自に設けた非公開の基準
- ③弁護士基準…過去の裁判例をもとに作られた弁護士が用いる基準
3つの基準の金額は自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準の順に高額になります。 弁護士基準は弁護士を介さないで用いることが難しいので、弁護士に相談することをお勧めします。
過失割合に納得いかない場合は変更交渉する
過失割合は慰謝料や賠償金を算出するうえで重要です。不当に被害者に大きな過失がついてしまうと、その分賠償金が減額されるからです。 過失割合に納得できない場合は根拠を示して、変更してもらうよう交渉しましょう。 しかし、自力で交渉をしても、相手方保険会社が納得してくれる可能性は低いです。また、提示された過失割合が適切なものか判断することは困難です。そのため、過失割合に納得いかない場合は弁護士に相談すると良いでしょう。
後遺障害等級認定を受けてから示談交渉をする
後遺症が残り、後遺障害等級認定申請をした場合の示談交渉は以下の点に注意しましょう。
- 後遺障害の等級認定結果を受けてから示談を行う
- 認定された等級に納得がいかず異議申立てを行う場合は、新しい等級が認定されるなど異議申立ての回答があるまでは示談をしないようにする
後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の額に大きく関わります。そのため、納得のいかない等級で示談すると適正な賠償額より低額になってしまいます。
損害賠償請求の時効に注意する
損害賠償の請求には時効があります。 時効期間は、物損事故については3年、人身損害(死亡事故及び傷害事故)については5年です(民法724条、724条の2)。時効の起算日は、実務上、物損事故や死亡事故の場合には事故発生日の翌日、傷害事故の場合には治癒または症状固定日の翌日とされることが多いです。 時効期間を過ぎてしまうと賠償金を受け取ることができなくなってしまいます。 示談交渉でもめている場合は早めに解決できるよう弁護士に相談してみましょう。
不安がある場合は弁護士にご相談ください
慰謝料や治療費などの賠償金は基本的には示談交渉の後に支払われるため、早く示談したいという気持ちから必要な治療を中断することや、後遺障害等級認定の申請を行わないこともあるかと思います。しかし、それでは適切な賠償を受けられず、かえって損になることが多いです。 適切な賠償を受け取るためにも、早めに弁護士に相談することをお勧めします。 治療中の段階から弁護士に相談することで、通院に関するアドバイスや後遺障害等級認定申請のお手伝いもできますし、示談交渉では最も適切な基準で賠償額を算出して、相手方保険会社と交渉します。また、弁護士は被害者の味方なので、安心感にもつながります。 事故にあって経済的にも精神的にも疲れてしまっている方や、保険会社から提示された額で示談してよいか不安な方など、交通事故に遭ってお困りの方は一度私たちにご相談ください。
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弁護士費用特約を使う場合
本人原則負担なし※保険会社の条件によっては
本人負担が生じることがあります。
弁護士報酬:成功報酬制
※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。