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後ろから追突されても過失0にならないのはどんな時?

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

普段からどんなに注意して自動車を運転していても、後ろから他の車両に追突されてしまっては避けようがありません。追突事故に巻き込まれた場合、過失割合はどうなるのでしょうか?被害に遭った側であっても、過失が認められることはあるのでしょうか?本記事で詳しく解説します。

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後ろから追突されたときの交通事故の過失割合は?

追突事故における過失割合は、追突した側が原則100%

自動車同士の交通事故のうち、最も多い交通事故類型が「追突事故」です。なかでも、信号待ちで停車中に後続車両に追突されるというような、停車中の追突事故が多いようです。また、走行中の追突事故としては、急ブレーキをかけたことにより後続車両に追突されるというような事故があります。 追突事故の場合、基本的には、追突された車両の運転者に過失はなく、過失割合は「100(追突した側):0(追突された側)」になります。後続車両は、道路交通法上、前方車両が急停止しても追突せずに停止できるよう十分な車間距離を保たなければなりません。一方で、前方車両は、後続車両が追突してくることを想定しておらず、回避することができません。以上の事情から、追突事故の場合の過失割合は、基本的には「100(追突した側):0(追突された側)」が認められます。

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後ろから追突されて、過失割合が100:0にならない場合もある?!

法令違反を犯していた場合は過失があるとみなされる

追突事故の場合の過失割合は、基本的には「100(追突した側):0(追突された側)」になります。しかし、追突された側が道路交通法違反をしていた、つまり法令違反を犯していた場合は、追突された側にも過失があるとみなされ、過失割合が「100(追突した側):0(追突された側)」にはならないおそれがあります。具体的には、追突された側が、駐停車禁止場所に停車していた場合や、駐停車方法を守っていなかった場合、灯火義務を怠っていた場合、不要な急ブレーキをかけた場合、飲酒運転をしていた場合、無免許運転をしていた場合等です。このうちいくつかのケースについて、次項よりさらに詳しく説明していきます。

駐停車禁止場所に停車していた場合

道路交通法44条では、駐停車禁止場所について定めています。駐停車禁止場所としているのは、交差点・横断歩道・自転車横断帯・踏切・坂の頂上付近・急な坂またはトンネル・交差点の側端または道路の曲がり角から5m以内の部分等です。 このような駐停車禁止場所に停車していて追突された場合、追突された側も10~20%の過失が問われ、過失割合が「90(追突した側):10(追突された側)」や「80(追突した側):20(追突された側)」になるおそれがあります。

駐停車方法を守っていなかった場合

道路交通法47条では、駐停車方法について定めています。駐停車方法として、「人の乗降または貨物の積卸しのため停車するときは、“できる限り”道路の左端に寄り、他の交通の妨害とならないようにしなければならないこと」(47条1項)や、「駐車するときは、道路の左端に寄り、他の交通の妨害とならないようにしなければならないこと」(47条2項)等が定められています。 このような駐停車方法を守っていなかった車両が追突された場合には、追突された側も10~20%の過失が問われ、過失割合が「90(追突した側):10(追突された側)」や「80(追突した側):20(追突された側)」になるおそれがあります。

灯火義務を怠っていた場合

道路交通法52条において、車両は、夜間、道路にあるときは、前照灯(ヘッドライト)、車幅灯(スモールライト)、尾灯(テールランプ)その他の灯火(ハザードランプ等)をつけなければならない、という灯火義務を定めています。 この灯火義務を怠り停車していた車両が追突された場合、追突された側も10~20%の過失が問われ、過失割合が「90(追突した側):10(追突された側)」や「80(追突した側):20(追突された側)」になるおそれがあります。 なお、ブレーキをかけた際に、後続車両に追突されたという走行中の追突事故で、追突された側の車両のブレーキランプが故障していた場合には、追突された側も10~20%の過失が問われ、過失割合が「90(追突した側):10(追突された側)」や「80(追突した側):20(追突された側)」になるおそれがあります。

急ブレーキ禁止を犯した場合

道路交通法24条では、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、急停止または速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない、つまり不要な急ブレーキを禁止する旨を定めています。 この急ブレーキ禁止を犯し、走行中に不要な急ブレーキをかけたことにより後続車両に追突された場合、追突された側も30%程度の過失が問われ、過失割合が「70(追突した側):30(追突された側)」になるおそれがあります。この場合に、「100(追突した側):0(追突された側)」の過失割合が認められるためには、急ブレーキをかけた理由について正当性を立証し、追突された側に過失はないことを主張する必要があります。

交通事故の過失割合でもめたときは?

過失割合が1割違うと大幅に損してしまう?過失相殺について

交通事故における当事者間の過失の度合いを示したものを、「過失割合」といいます。被害者側の過失割合が0ではなく、被害者側にも過失があった場合、過失割合に応じて当事者間の損害賠償金額を「過失相殺」することになります。 適切な損害賠償金額を受け取るためには、過失割合はとても重要になります。損害額が高額であればあるほど、過失割合が1割違うだけでも、損害賠償金額は大きく変わります。例えば、損害額が3000万円であった場合、3000万円の1割は300万円ですので、過失割合が1割違うだけで、受け取ることができる損害賠償金額は300万円も変わってしまいます。このように、過失割合に応じて過失相殺されることにより、損害賠償金額は大きな影響を受けるのです。

過失割合を不利にならないようにするには?

過失割合は、加害者側の保険会社と被害者側の保険会社が交渉することにより決められますが、決められた過失割合は必ずしも正しいとは限らず、被害者側としては納得いかない過失割合を提示されることがあります。過失割合は基本的に「100(追突した側):0(追突された側)」とされる追突事故の場合でも、被害者側にも過失があると主張され、被害者側が不利な過失割合を提示されることがあります。 過失割合について争いが生じ、被害者の方自身で保険会社と交渉しても、交通事故対応の経験の違いや、知識量の違い等があるため、主張したい過失割合を認めてもらうことはなかなか難しいでしょう。そのようなときには、弁護士に依頼するという方法があります。弁護士に依頼することで、保険会社との交渉を任せることができ、主張したい過失割合を立証するための資料の収集も代行してもらえます。その結果、適切な過失割合を認めてもらえる可能性が高まります。したがって、被害者側に不利な過失割合になるという事態を回避するためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

追突事故の被害に遭い、過失割合に納得いかないときは、弁護士に依頼しよう!

追突事故に遭った際、基本的には「100(追突した側):0(追突された側)」の過失割合が認められます。しかし、追突された側が法令違反を犯していたときには、追突された側にも過失があるとみなされるおそれがあります。過失割合が1割でも生じると、過失相殺がなされ、被害者の方が受け取れる損害賠償金額に大きく影響します。 そのため、保険会社から提示された過失割合に納得いかない場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、保険会社へ適切な過失割合を認めさせ、適切な損害賠償金額を受け取れる可能性が高まるだけでなく、保険会社との煩わしいやりとりから解放されることで、精神的負担も軽減されます。追突事故による怪我の治療に専念するためにも、過失割合で争いが生じた際には、ぜひ弁護士にご依頼ください。

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