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交通事故で後遺症が残ってしまったら慰謝料はいくらもらえる?

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故によるケガは、治療を続けても完治せずに後遺症が残ることがあります。 後遺症が「後遺障害」として認定されると、「後遺障害慰謝料」などの、後遺障害に関する損害賠償金が請求できるようになります。 本ページでは、後遺障害と認定された場合の慰謝料の相場について、詳しく解説していきます。 後遺障害等級認定の申請方法や、適正な等級認定を得るためのポイントについても、一緒に理解を深めていきましょう。

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目次

交通事故後に後遺症が残った場合の慰謝料とは

交通事故のケガが完治せずに後遺症が残ってしまった場合、後遺障害として認定されると、後遺障害慰謝料が請求できるようになります。

後遺症 治療を続けても症状の改善が見込めない状態(症状固定)となったときに残った症状
後遺障害 後遺症のうち、自動車損害賠償保障法施行令が定める後遺障害等級の認定を受けたもの
症状の部位・程度に応じて、1~14級の14段階に区分されている

後遺症すべてが後遺障害と認定されるわけではありません。 法律に基づいて、「後遺症の部位・程度」が、「14段階に区分された後遺障害」に該当すると判断されてはじめて、後遺障害等級が認められます。 以下のページで、後遺障害について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

後遺障害等級ごとの慰謝料の相場

後遺障害が残存した場合の肉体的・身体的苦痛に対して支払われる「後遺障害慰謝料」の相場は、計算に用いる3つの算定基準によって異なります。

自賠責基準 強制加入保険である自賠責保険が算定に用いる基準
基本的な対人賠償を目的とするため、3つの基準で最も低額となる
任意保険基準 任意で加入する保険会社が算定に用いる、独自に設けられた基準
詳細は非公開だが、自賠責基準よりやや高めの金額となることが多い
弁護士基準 弁護士による交渉や裁判所が用いる基準
過去の裁判例をもとに設定されていて3つの基準の中で最も高額となることが多い

3つの算定基準ごとに、認定された後遺障害等級や、日常的な介護の有無によって、具体的な金額が決まります。 自賠責基準と弁護士基準の相場を比較してみましょう。

〈別表第1〉日常的な介護を要する後遺障害
等級 自賠責基準※1 弁護士基準
1級 1650万円(1850万円)
2級 1203万円(1373万円)
※括弧内の金額は被扶養者がいる場合の適用額

〈別表第2〉介護を要さない後遺障害
等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1150万円(1350万円) 2800万円
2級 998万円(1168万円) 2370万円
3級 861万円(1005万円) 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1180万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円
※括弧内の金額は被扶養者がいる場合の適用額
※自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

自賠責基準と比較すると、弁護士基準の方が1.5~3倍ほど高額になることがわかります。 さらに、等級によって金額が大きく変わるため、まずは適正な等級認定を獲得することが重要になります。

むちうちで12級または14級に認定された場合の慰謝料相場

交通事故の代表的なケガのひとつ、むちうちの後遺症で、後遺障害が認定される可能性があるのは、12級13号または14級9号です。 それぞれの、後遺障害慰謝料の相場は次のとおりです。

むちうちの後遺障害慰謝料
自賠責基準 弁護士基準
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

12級と14級では、3倍近くも金額が異なります。 後遺症の症状を医学的に証明できれば12級が、証明できなくても医学的に説明ができれば14級が認定される可能性があります。 とはいえ、むちうちの後遺症は症状の立証がむずかしく、等級認定が非該当とされることも少なくありません。 むちうちの後遺症でお悩みの場合、弁護士に相談することもひとつの手段です。 以下のページで、むちうちの後遺障害等級認定について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

 

後遺障害が複数残った場合はどうなる?

交通事故による後遺障害が複数残ってしまった場合、「併合」というルールが適用されます。 2つ以上の後遺障害等級を組み合わせて、1つの等級を決定し、併合後の等級に応じた後遺障害慰謝料が請求できるようになります。 後遺症の数や、症状・程度によって、どのように併合されるかが変わるのですが、基本的なルールは、「重い方の等級をそのまま採用する」または「重い方の等級を1~3級繰り上げる」です。 等級が繰り上げられた場合、慰謝料は増額することになります。 以下のページで、後遺障害が複数残った場合の慰謝料について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

自動計算機を使って慰謝料を計算してみましょう

交通事故の後遺障害が残ってしまった場合、弁護士基準での慰謝料がいくらになるのか、【損害賠償計算ツール】を使えば、簡単に計算することができます。

損害賠償額計算ツール

上記のツールでは、慰謝料と逸失利益の目安を知ることができます。 もっとも、交通事故の損害を償ってもらうための金銭=損害賠償金は、治療費や休業損害など、さまざまなものがあります。 また、過失割合などの個別事情も考慮されていないため、あくまで参考程度にご利用ください。 具体的な賠償額については、弁護士までご相談ください。

後遺障害認定の条件

事故の後遺症が、後遺障害として認定を得るためには、次の条件を満たしている必要があります。

  • ①交通事故が原因で生じた症状である
  • ②症状内容や程度を医学的に証明できる
  • ③症状が一貫しており継続的にある
  • ④症状が後遺障害等級認定基準のいずれかに該当する

次項で、それぞれの条件についてもう少し掘り下げてみていきましょう。

①交通事故が原因で生じた症状である

交通事故と後遺症に因果関係があることを証明しなければなりません。 事故後は、すみやかに病院へ行きましょう。 時間が経ってから痛みやしびれが強くなることもあるので、些細な違和感であっても忘れずに医師に伝え、診断書に記載してもらいましょう。 また、受診までの期間が空くほど、因果関係が認められにくくなります。 たとえ自覚症状がなくても、レントゲンやMRIなどの検査結果を記録してもらうことも大切です。 たとえば、頭部外傷の後遺症のひとつ「高次脳機能障害」は、外見上で障害があると気づきにくく、症状と、もともとの本人の性格との判別もむずかしいため、注意が必要です。 以下のページで、高次脳機能障害の後遺障害認定ポイントについて詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

②症状内容や程度を医学的に証明できる

本人の自覚症状を医学的に証明しなければなりません。 具体的には、レントゲンやMRIといった画像検査に異常がみられるなど、他覚所見が必要です。 他覚所見がない場合でも、神経学的検査で自覚症状を医学的に説明できれば、等級認定獲得の可能性が高まります。

③症状が一貫しており継続的にある

症状の一貫性・継続性も、認定等級にあたって重要な判断ポイントです。 交通事故後から症状固定に至るまで、同じ症状が続いている必要があります。 たとえば、初診時「むちうちで疼痛がある」という主訴が、「むちうちでしびれがある」などと途中で症状が変化していると、変化後の症状は事故と無関係だと判断される可能性があります。 同様に、「雨の日だけ痛む」など、症状が連続していない場合も、後遺障害に該当するほどの症状ではないと判断されかねません。 等級認定を得るためには、症状が一貫・継続していて、症状固定後も回復の見込みがないことを証明していくことになります。

④症状が後遺障害等級認定基準のいずれかに該当する

後遺障害は、1~14級の14段階に区分された等級ごとに、認定基準が定められています。 認定された等級によって、賠償額が決まります。 後遺症の程度が重いほど、等級の数字が小さくなって、賠償額が高額になります。 適正な後遺障害等級認定を受けるためには、ご自身の後遺症が認定基準を満たしていることを証明する必要があります。 なお、後遺症の裏付けが不十分だと、「非該当」となって、等級認定されないこともあるため注意が必要です。

《後遺障害等級認定基準》
等級 後遺障害
1級・要介護
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級・要介護
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
1級
  • 両眼が失明したもの
  • 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  • 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  • 両上肢の用を全廃したもの
  • 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  • 両下肢の用を全廃したもの
2級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  • 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  • 両上肢を手関節以上で失つたもの
  • 両下肢を足関節以上で失つたもの
3級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 両手の手指の全部を失つたもの
4級
  • 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 両耳の聴力を全く失つたもの
  • 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  • 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  • 両手の手指の全部の用を廃したもの
  • 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
5級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 一上肢を手関節以上で失つたもの
  • 一下肢を足関節以上で失つたもの
  • 一上肢の用を全廃したもの
  • 一下肢の用を全廃したもの
  • 両足の足指の全部を失つたもの
6級
  • 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  • 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  • 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
7級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  • 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  • 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  • 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 両足の足指の全部の用を廃したもの
  • 外貌に著しい醜状を残すもの
  • 両側の睾丸を失つたもの
8級
  • 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  • 脊柱に運動障害を残すもの
  • 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  • 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  • 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 一上肢に偽関節を残すもの
  • 一下肢に偽関節を残すもの
  • 一足の足指の全部を失つたもの
9級
  • 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  • 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  • 一耳の聴力を全く失つたもの
  • 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  • 一手の親指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  • 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  • 一足の足指の全部の用を廃したもの
  • 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  • 生殖器に著しい障害を残すもの
10級
  • 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  • 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  • 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  • 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  • 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  • 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  • 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11級
  • 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  • 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 脊柱に変形を残すもの
  • 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  • 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
12級
  • 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  • 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 長管骨に変形を残すもの
  • 一手のこ指を失つたもの
  • 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  • 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  • 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  • 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 外貌に醜状を残すもの
13級
  • 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  • 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 一手のこ指の用を廃したもの
  • 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  • 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  • 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  • 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
14級
  • 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  • 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  • 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  • 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  • 局部に神経症状を残すもの

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後遺障害の認定で慰謝料以外に請求できるもの

交通事故の後遺症が、後遺障害の認定を受けられると、後遺障害慰謝料のほかに、次のような損害賠償金が請求できるようになります。

  • ①後遺障害逸失利益
  • ②車椅子購入費や介護費用等
  • ③近親者慰謝料

次項で掘り下げてみていきましょう。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害がなければ得られるはずだった、将来の収入や利益のことです。 後遺障害によって失われた損害として、相手方に賠償金を請求することができます。 事故前の被害者の収入や年齢、後遺障害による労働能力の低下・喪失率などで、金額が決まります。 基本的に、後遺障害の等級が上がるほど、労働能力の低下・喪失率も高くなるので、逸失利益も高額になります。

《後遺障害逸失利益の計算式》
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

以下のページで、後遺障害逸失利益の計算方法について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

車椅子購入費や介護費用等

後遺症の程度が重いと、車椅子が必要になったり、介護を余儀なくされたりするケースもあります。 これらは、「交通事故に遭わなければ本来不要だったもの」ですので、相手方に将来にわたって賠償してもらうことができます。 具体的には、車椅子は購入費だけでなく、経年劣化のための買替費用も認められます。 介護費用についても、家族の場合は日額を、ヘルパーなどに依頼した場合は実費を請求することが可能です。 そのほか、自宅や車両の改造費なども補償内容に含まれます。 以下のページで、車椅子が必要になったときの損害賠償請求について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

 

近親者慰謝料

被害者の方が、交通事故によって介護を必要とする場合、その近親者に対する慰謝料が認められる可能性があります。 事故に遭ったことで寝たきりや日常的な介護が必要となった場合、被害者を支える近親者が受ける精神的苦痛は計り知れず、軽視することはできません。 そのため、被害者本人だけでなく、近親者の方にも慰謝料が認められる場合があります。 一般的には、被害者の父母、配偶者、子供が対象となることが多く、後遺障害の程度や介護状況など、個別の事情によって具体的な慰謝料額が決められます。

後遺障害慰謝料を請求するまでの流れ

後遺障害慰謝料の請求は、症状固定と診断された後に、医師に後遺障害診断書を作成してもらうところからはじめます。 後遺障害診断書をもとに、後遺障害等級認定の申請をすると、申請を受けた相手方の自賠責保険会社が、損害保険料率算出機構という審査機関に調査を依頼し、審査が行われます。 審査の結果、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料の請求ができるようになります。 なお、後遺障害等級認定の申請には、「被害者請求」と「事前認定」の2つの方法があります。 この2つの方法の大きな違いは、相手方自賠責保険会社に対する申請を、被害者自身で行うか、相手方の任意保険会社に任せるか、です。 それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身にあった方法を選択しましょう。

申請方法 メリット デメリット
被害者請求 審査に有利な証拠資料を被害者自身で収集・提出できるため、適正な等級認定を得やすくなる。また、示談成立前に自賠責保険金の先払いが受けられる。 書類の作成・収集や保険会社のやりとりなど多くの手間や費用がかかる。
事前認定 後遺障害診断書を相手方任意保険会社に提出するだけなので被害者自身の負担が小さい 相手方任意保険会社が用意する提出書類を被害者が確認できず、不当な認定結果となるおそれがある。また、自賠責保険金の先払いを受けられない。

以下のページで、後遺障害等級認定の申請手続きについて詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

認定結果に納得いかない場合

「後遺障害等級が非該当となった」 「認定された等級が想定より低かった」 このように、認定結果に納得できない場合、一般的な対処方法として、自賠責保険に対する「異議申立て」があります。 異議申立てをすると、等級認定の再審査を受けることができます。 ただし、結果を覆すための異議申立書や新たな証拠資料を用意する必要があるため、ハードルが高いといえます。 また、異議申立ては何度も行うことができますが、最終手段として裁判を起こす方法もあります。 異議申立ての成功率を上げたい方、裁判の手続きが不安な方は、専門的知識と経験豊富な弁護士に依頼することもご検討ください。 以下のページで、認定結果に納得いかない場合の対象方法について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

適正な後遺障害等級を認定されるための3つのポイント

症状に合った後遺障害等級の認定を得るために、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • ①交通事故後すぐに病院を受診する
  • ②後遺障害診断書は詳細に記載してもらう
  • ③通院は自己中断せず適切な頻度で続ける

それぞれのポイントについて、次項でもう少し掘り下げてみていきましょう。

①交通事故後すぐに病院を受診する

交通事故後、ケガの程度や自覚症状の有無に関係なく、速やかに病院を受診しましょう。 受診までの期間が空くと、症状と事故との因果関係が疑われて、後遺障害と認めてもらえない可能性があります。 医師の診察を受け、適切な治療や検査を受けることが大切です。

②後遺障害診断書は詳細に記載してもらう

後遺障害等級の認定において、後遺障害診断書や各種検査結果をもとに審査が行われます。 そのため、ただ症状を伝えるだけではなく、症状がある部位、強度、時間、頻度、日常生活への影響などの自覚症状を細かく医師に伝え、後遺障害診断書に正しく記載してもらう必要があります。 もっとも、医師は交通事故の後遺障害等級認定の専門家ではないので、後遺障害診断書が不十分である可能性もあります。 作成してもらった後遺障害診断書に不足・不備がないか、ご自身で確認するようにしましょう。 不安がある場合は、弁護士に確認してもらうのもひとつの手段です。 弁護士による、等級認定を得るための後遺障害診断書の書き方や受けるべき検査のアドバイスをもとに、医師に補足を依頼しましょう。 以下のページで、後遺障害診断書を正確に作成してもらう方法について詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

③通院は自己中断せず適切な頻度で続ける

症状固定と診断されるまで自己中断せず、適切な頻度で通院を続けましょう。 極端に通院頻度が少ない場合、等級認定において「後遺障害に該当するほどのケガではない」と判断されるおそれがあります。 また、症状が軽快したからと自己判断で通院を中断してしまうと、症状が再熱する可能性もあります。 通院頻度・日数が適切でないと判断されると、後遺障害慰謝料だけでなく、入通院慰謝料にも影響するため、医師の指示に従って適切な通院頻度を保つことが大切です。 以下のページで、慰謝料に対する通院日数の影響について詳しく解説しています。 ぜひご参考ください。

弁護士に交通事故の後遺症で慰謝料請求を依頼するメリット

弁護士基準で請求できるため慰謝料が増額する

弁護士に依頼すると、弁護士基準の慰謝料額を請求できるため、増額が期待できます。 自賠責基準も任意保険基準も、慰謝料を「支払う側」の算定基準なので、過去の裁判例をもとに設定された弁護士基準と比較すると低額になる傾向にあります。 もっとも、被害者ご自身で弁護士基準の慰謝料額を交渉しても、相手方の保険会社が受け入れてくれる可能性は低いでしょう。 相手方保険会社から提示された慰謝料を増額させるためには、弁護士への依頼が最善の方法といえるのです。

適正な後遺障害等級認定を獲得するためのアドバイスがもらえる

交通事故問題に精通した弁護士であれば、適正な後遺障害等級認定を獲得するためのアドバイスが可能です。 等級認定は、申請すれば必ずしも適正な認定が得られるわけではありません。 等級認定が非該当となる、想定した等級より低かったなど、不当な認定結果となった場合、本来受け取れるはずの慰謝料が大きく減ってしまうおそれがあります。 そこで、弁護士に依頼すると、アドバイスが受けられるほか、複雑な手続きを一任することもできるので、適正な等級認定獲得の可能性がぐっと高まります。

後遺障害慰謝料以外の損害賠償金の請求を漏らさない

弁護士であれば、後遺障害慰謝料以外の損害賠償を、漏らすことなく請求することができます。 慰謝料や治療費、将来の介護費用など、交通事故の損害賠償は多岐にわたります。 もっとも、加害者に請求できる損害項目は被害者によってさまざまです。 弁護士に依頼することで、被害者の方に生じた損害に応じた、適正な賠償金の請求ができるようになります。

後遺障害等級非該当から、弁護士の介入により14級獲得・損害賠償金を約180万円増額した事例

<事案の概要>

対面信号が青色で、横断歩道を横断中に、交差道路を走ってきた自動車に衝突され負傷した40代女性の事案です。
相手方保険会社に手続を任せる事前認定では、後遺障害等級非該当とされ、これを前提とした相手方保険会社からは約84万円の示談金賠償案が提示されました。

<解決結果>

受任後、担当弁護士が病院から診療記録(カルテ)を取り寄せたところ、依頼者の具体的症状や治療の経緯・方法、画像所見、初診時から一貫している自覚症状、生活に及ぶ支障等が詳細に記載されていることがわかりました。 その情報をもとに医師に意見書の作成を依頼し、事前認定の結果に対して異議申立ての手続きを行いました。 結果、後遺障害等級14級9号の認定を受けることができ、最終的には賠償金総額で約270万円増額する内容で示談を成立させることができました。

後遺症が残ったらまずは弁護士へ。納得のいく慰謝料を獲得できるよう尽力します

交通事故の後遺症が残ってしまった場合に、適正な慰謝料を請求するためにも、事故後早目の段階で弁護士に相談することをおすすめします。 後遺症が残った場合を見越した通院方法の対策や、受けるべき検査、後遺障害診断書の書き方など、後遺障害等級認定に効果的なアドバイスが受けられます。 また、複雑な手続を弁護士に一任することもできます。 後遺症が残るようなケースでは、医学的知識を必要とする場面も少なくありません。 弁護士法人ALGでは、納得のいく慰謝料を獲得できるようにサポートいたします。 まずはお気軽にご相談ください。

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