外国人の死亡事故について、日本人と同様の計算方法による死亡逸失利益が認められた事例
事案の概要
本件は、被害者(ベトナム人)が知人の運転するトレーラーに同乗していたところ、トレーラーが自損事故を起こし、被害者が死亡してしまったという事故でした。
あるとき被害者の配偶者である依頼者(ベトナム人)のもとに、相手方から押印した記憶のない示談書が送られてきて、自賠責保険金は支払うものの、示談済であるとしてこれ以上の賠償金の支払いはしないとの連絡がありました。
依頼者は日本語での意思疎通に不自由こそありませんでしたが、法的な内容がわからないため、どのように対処すべきか専門家の判断を仰ごうと思い、弊所にご相談されました。
東京法律事務所・交通事故案件担当弁護士の活動および解決結果
担当弁護士が、依頼者が持参した「示談書」を検討したところ、その成立日や内容からして、死亡事故の示談として通常考えられない内容となっていました。
担当弁護士は、当事者から示談書作成の経緯を聴取して、示談書が有効なものとは言い難いと相手方に主張しましたが、相手方は示談書が存在する以上、交渉による解決はできないとの回答に終始しました。
そのため、交渉による解決は困難と判断し、依頼者と協議のうえ、訴訟(裁判)を提起することにしました。
訴訟提起に際して、婚姻、相続、未成年者の行為能力、親子関係等に関する準拠法が全てベトナム法であったため、ベトナム法の内容を調査し、依頼者の外国人登録原票を取得したり、日本とベトナムそれぞれにおける婚姻や出生に関する届出状況等を確認したりといった作業を行いました。身分関係に様々な法的問題が存在することが判明しましたが、交通事故の損害賠償請求権の消滅時効が完成間近であり、順番に解決するだけの時間的余裕がなかったため、交通事故の損害賠償請求訴訟と身分関係を確定するための訴訟を、並行して進めました。
交通事故の損害賠償請求訴訟では、相手方から既に示談が成立しているからこれ以上の賠償をする必要はないとの反論が出ましたが、担当弁護士が刑事事件記録に書かれたトレーラー運転者の供述調書の内容と示談書の内容が整合していない等の再反論を講じたところ、相手方の反論は撤回されました。
また、相手方が、死亡逸失利益について、被害者が外国人であり帰国する可能性があるから、日本人と同じ方法で算定できないと反論してきたものの、被害者及び依頼者の来日の時期・理由、来日後の就学・就労状況、子供たちの出生・生育状況等を主張立証した結果、裁判所から逸失利益は日本人の賃金センサスの平均賃金額に基づいて、労働能力喪失期間を67歳までとして算出するとの心証が開示されました。
最終的には、依頼者以外の相続人が存在したため、依頼者の相続分等として既払い分を除いて約2500万円の賠償金を支払ってもらう内容で和解が成立しました。
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