ふらつきが続く場合の原因と後遺障害
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
「交通事故後から、身体がふらつく感じが続いて辛い……」 交通事故後、ふらつきというお辛い症状に悩まれている方は少なくありません。明確な病名が診断されにくく、後遺障害等級も認定されにくい「ふらつき」について、後遺障害等級が認定される可能性があるのかどうかということに重点を置いて、解説していきます。
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目次
交通事故後、ふらつきが続いているときにやること
ふらつきとは、平静時に浮遊感がある等、身体の不安定感を感じることをいいます。 交通事故によるふらつきの原因の多くは、交通事故の衝撃により生じた、平衡機能の障害といわれます。 ふらつきが実際に生じていることと、ふらつきと交通事故との間に因果関係があることを証明できれば、後遺障害等級が認定され、後遺障害慰謝料を受け取れる可能性が出てきます。
検査と治療方法
ふらつきについては、重心動揺検査等の平衡感覚検査で調べます。具体的には、眼を開けているときと閉じているときの身体の揺れを比較し、平衡障害があるかどうか、どのようなタイプか等を判別します。 治療では、投薬だけでなく、平衡訓練といった方法が選択されることもあります。平衡訓練とは、ふらつきを改善するための体操のことで、人間の体のバランスをとる仕組みを機能アップさせる体操です。 こうした治療により、ふらつきの改善に努めることになります。
ふらつきの原因は何?関係のある傷病
むちうち
むちうちとは、交通事故等の強い衝撃により、首が鞭のようにしなることで、頚椎等の関節が損傷することをいいます。 首の痛みや頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、腕や手のしびれ、ふらつきといった症状が主な症状です。 むちうちの症状を医学的に証明できる場合には、後遺障害等級12級13号が認定され、医学的説明ができるに留まる場合は、後遺障害等級14級9号が認定されます。 詳しくは下記の記事をご参照ください。
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内耳損傷
内耳損傷とは、三半規管、蝸牛、有毛細胞、蝸牛神経で構成される内耳が損傷されることをいいます。交通事故等による外傷により、内耳に損傷が及ぶと、難聴、めまい、ふらつきといった、平衡機能障害が残ることがあります。 平衡機能障害は、その程度によって、3級から14級までの後遺障害等級が認定される可能性があります。
外リンパ瘻
内耳の中は、内リンパ腔・外リンパ腔に分かれて、リンパ液で満たされています。このリンパの振動や流動により、音を知覚したり平衡感覚を保ったりすることができるのですが、外リンパが内耳から中耳へ漏出することにより、内耳の生理機能が傷害されることがあります。この疾患を、外リンパ瘻といいます。 交通事故による頭部への強い衝撃により、内耳や中耳の脆い部分に外力が働くこと、あるいは骨折等の外傷が生じることで、外リンパ瘻になる場合があります。 症状としては、めまい、ふらつきといった平衡障害や、難聴、耳鳴り等、様々なものがあります。
脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症とは、交通事故等の強い衝撃により、頭蓋骨内部の硬膜が損傷し、脳を守る髄液が減少する等して生じる症状です。 むちうちとよく似た症状が出ますが、起立性頭痛、脳機能障害、自律神経症状といった、頭蓋内圧の低下による特有の症状もあります。また、むちうちと同様の症状としては、吐き気、耳鳴り、めまい、ふらつきがみられることがあります。 詳しくは下記の記事をご参照ください。
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高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、高次脳機能(大脳の活動の総称)に支障を来したことにより生じる障害です。記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等が生じることがあるため、社会適合性を欠くようになる場合があります。 このような障害が明らかであっても、視覚、聴覚等の感覚機能や手足の運動機能に大きな障害がないときには、画像検査でも異常が明確に見つからないことが多いです。そのため、見落とされがちな脳損傷の後遺障害といえます。 詳しくは、下記のリンクをご参照ください。
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ふらつくというだけでは後遺障害等級認定は難しい
ふらつきの診断は、自覚症状に頼るところも大きく、明確に診断することが難しいといえます。そのため、ふらつくという自覚症状があるだけでは、症状が実際に生じているとは診断されず、後遺障害等級に該当しないと判断されることがあります。 後遺障害等級認定を受けるためには、ふらつきの原因となる傷病を医学的に把握すること、さらには、ふらつきの原因となる傷病と交通事故との間に因果関係があると、診断を受けることが重要です。
ふらつきの後遺症でお悩みの方はご相談ください
ふらつきという症状は、後遺障害として認められにくい症状です。後遺障害等級の認定のため、ふらつきと交通事故との因果関係を医学的に証明、あるいは説明することは非常に難しいため、後遺障害等級認定の申請を考えられている方は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。 他覚所見に乏しい後遺症の場合には、交通事故直後から、一貫した症状を継続して主張していることが重要です。また、後遺障害等級の認定では、後遺障害診断書の記載内容はもちろん、カルテの内容や治療の受け方等も、審査のための資料とされます。そのため、どのような検査を受け、どのような後遺障害診断書を医師に書いてもらうべきか、治療はどのように受けたら良いのか、悩まれると思います。 そこで、医療問題に強く、後遺障害等級認定の申請手続にも精通している弁護士から、後遺障害等級認定の申請に際してのアドバイスを受けることができれば、適切な等級が認定される可能性が高まります。 適切な後遺障害等級の認定を受け、適正な賠償を受けるためにも、後遺障害等級認定申請の経験があり、医療問題に強い弁護士が集まる弁護士法人ALGにご相談、ご依頼ください。
交通事故によるふらつきが後遺障害として認められた裁判例
交通事故によるふらつきで後遺障害等級が認定された裁判例をご紹介します。
【大阪地方裁判所 平成30年2月23日判決】
*説明の便宜上、過失割合の小さい方(自転車に乗っていた被告)を被害者としています。
<事案の概要>
普通貨物自動車を運転し、道路を直進していた加害者が、合図なく右に進行した自転車に乗っていた被害者と衝突し、被害者が、外傷性大動脈損傷、出血性ショック、外傷性血気胸、恥骨骨折等の傷害を負った事案です。 被害者に残った後遺障害の程度について争われました。
<裁判所の判断>
被害者のめまいやふらつきといった症状について、裁判所は、①被害者は、本件事故により頭部に傷害を負ったわけではないが、胸部大動脈損傷の傷害を負い、その手術を受け、手術後間もない時点から体位変換時のふらつきや立ち上がる際のめまいの症状を訴えていたこと、②被害者のめまいの症状は、左鎖骨下動脈の閉塞と左椎骨動脈の逆行性血流に伴う上肢での血圧左右差によるものであり、手術時に逆行性血流が発生した可能性があることを踏まえ、被害者のめまいやふらつきの症状は、交通事故による傷害に対する治療の結果生じたものであり、交通事故と相当因果関係があると認めました。 このような認定事実と、被害者の訴えるめまいの程度等に照らし、被害者のめまいやふらつきの症状は、後遺障害等級12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当すると判断されました。 そして、被害者に残ったその他の後遺障害(12級5号、14級9号等)と併せて、後遺障害等級併合第11級が認定されました。
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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。