交通事故の付添費も請求可能!認定要件と相場を解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
ご家族が交通事故に遭い、入通院や通勤・通学に付き添われる方もいらっしゃるでしょう。 その「付き添い」に関しても、交通費などとは別に、「付添費」として相手方に賠償を求めることができます。 ただし、賠償請求できる「付添費」として認められるためには条件がありますので、相場とともに、このページでしっかり把握していきましょう。
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目次
付添費とは
付添費とは、交通事故被害者の“個別具体的な事情”により付添人を必要とする際に認められる費用をいいます。個別具体的な事情とは、怪我の程度が重い、子供・高齢者である、その他医師により付き添いが必要と判断された場合などを指します。 付添費の請求は、付添人として誰かを雇った費用を相手方に請求する感覚で行います。そのため、ヘルパー等に委託した場合は実費相当額が、ご家族が付き添った場合は算定基準ごとに異なる日額が、付添費として加害者側から被害者に支払われることとなります。 また、付添費だけではなく、介護費用も同様に扱われますので覚えておきましょう。
付添費が認められる条件
付添費として認められるのは、基本的に”医師により付き添いの指示がある場合”です。診断書やカルテに付き添いの必要性が明記されていることで、医師による指示があったことの証明となりますので、記載依頼を失念しないようにしましょう。 なお、加害者側にそれらの提出を求められたときに備えて、作成料などを事前に確認しておくことをおすすめします(相場3000円~5000円程度)。 また、明らかに重大な怪我を負ったケースでは、医師による指示やカルテなどへの記録がなくても付添費が認められる場合もあります。
子供に付き添う場合は条件が緩和されている
被害に遭ったのが幼児や児童であれば、怪我の内容や程度に関係なく付添費が認められることが多いです。しかし、被害者が中学生以上の場合、怪我の程度が軽ければ一人でも通院したり、身の回りのことができたりすると考えられるため、付添費が認められないケースが出てきます。また、中学生でも、13歳の誕生日を迎える前である場合の扱いや、付き添いを必要とする怪我の程度の判断については、主張・立証資料にもとづく交渉次第となるでしょう。争われる場合に備えて、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
付添費の内訳と相場
“付添費”と一口にいっても、入院や通院に加えて自宅療養や通学の際のものなど、いくつか種類があります。それぞれの状況で要される付き添いが、”付添費”として認められるには相応の条件が必要となりますので、以降、相場とともにご紹介します。
入院付添費
入院付添費は、被害者が重症であるために自分で身の回りのことが行えず、病院側の看護以外にも付添看護を必要とする場合の、”入院期間中の付き添い”に対して認められます。そのため、着替えの用意といった容易な補助や短時間のお見舞い程度では、入院付添費として認められません。また、入院期間中であっても、回復してきたため付添看護の必要がなくなったと判断されると、それ以降の入院付添費は認められにくい傾向にあります。
入院付添費の相場
自賠責基準の場合、入院付添費は1日につき4200円※とされており、任意保険基準の場合もおおむね同額となります。弁護士基準の場合は、1日につき6500円が相場となっていますが、怪我の程度が重いケースや、被害者が幼児・児童であるケース等では、増額が考慮されることがあります。 ※令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の日額4100円が適用されます。
通院付添費
通院付添費は、怪我によって被害者が一人で通院することが困難となり、付き添いを要する場合に認められます。 通院付添費は、付き添いをしたこと自体に対して支払われるものであり、被害者本人や付添人の交通費については、別に請求することができます。
通院付添費の相場
自賠責基準の場合、通院付添費は1日につき2100円※とされており、任意保険基準の場合もおおむね同額となります。弁護士基準の場合は、1日につき3300円が相場となっていますが、個々の事情により変動します。※令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の日額2050円が適用されます。
自宅付添費
自宅付添費は、被害者の怪我が重症で、自宅療養中であっても介護を要する場合に認められます。 自宅付添費が認められる期間は、退院後から症状固定(これ以上治療を続けても症状の大幅な改善が見込めない状態)までとなっており、症状固定後の介護については、次に説明する将来介護費で補償します。
自宅付添費の相場
自宅付添費の相場は、自賠責基準も任意保険基準もほぼ同額で、日額2100円※とされています。弁護士基準では明確な定めがない分、どの程度の介護が必要だったかなど、より具体的な事情が考慮されます。 見守りや助言で済む場合は日額3000円程度、常に介護を必要とする場合は日額6500円以上となることが多いようです。※令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の日額2050円が適用されます。
将来介護費
将来介護費は、将来の付添看護費ともいい、重度の後遺障害のために症状固定後も介護を要する場合に認められます。遷延性意識障害、失調麻痺、高次脳機能障害、脊髄損傷等によって、後遺障害等級別表第1の1級1号や2級1号と認定されれば、将来介護費はまず認められます。 もっとも、別表第2の3級以下の等級であっても、将来介護費が認められた事例は多数あります。後遺障害が重い場合には、将来介護費が損害賠償請求額の中で大きな割合を占めるので、十分な検討が必要です。
将来介護費の相場
将来介護費は、下記の計算式により算出されます。
将来介護費=介護費年額(介護費日額×365日)×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数
「介護費年額」は、付き添う人が職業付添人の場合と近親者の場合とで扱いが異なります。 職業付添人の場合は、実費相当額とされ、日額1万~2万円が認められるケースもあります。ご家族など近親者の場合は、個々の事情により変動しますが、日額8000円が基準とされます。なお、「症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」を乗ずることで、利息控除の調整をします。
通学付添費
子供の通学付添費についても、必要性と妥当性が認められれば相手方に請求できます。 例えば、松葉づえが必要な状態で満員電車通学することは、二次的被害が懸念されるでしょう。過去の裁判例では、こうした場合の家族による送迎が付添費として認められた事例もあります。また、被害者が子供の場合、通学付添費の他に、交通事故で学校の授業を休んだ分の補習費用や家庭教師代、留年して余計にかかった授業料等の請求も認められます。
通学付添費の相場
通学付添費の請求は妥当な範囲内とされており、明確な基準は定められていません。過去の裁判では、1日につき3000円として1年分の通学付添費が認められた事例があります。
仕事を休んで付き添いをした場合は休業損害と比較する
近親者が付き添いのために仕事を休む必要があったと認められると、相場よりもさらに高額な付添費が請求できます。この場合は、近親者にも休業損害(仕事を休んだことで失った収入)が発生したとみなされるため、休業損害算定における1日あたりの収入と上記のそれぞれの相場を比較して、高い方を基準とします。 ただし、職業付添人に依頼する費用よりも1日あたりの収入が高ければ、職業付添人の費用分までしか認められないおそれがあります。
プロに付き添ってもらった場合の付添費は実費精算
ご家族など近親者に限らず、事情によってはプロも付添人として認められます。 職業付添人に依頼をした場合、上記の付添費は基本的にすべて実費で計算されるため、かかった費用を全額請求することができます。ただし、近親者が付き添う場合と同様に、必要性や妥当性が認められなければ、付添費として請求できませんので注意が必要です。
交通事故の付き添いに関するQ&A
子供の付添看護料は12歳以下しか支払われないと聞きましたが本当ですか?
子供の付添看護料について、自賠責基準では原則として12歳以下の子供を対象に、近親者が付添った場合に認めるとしています。 ただし、例えば12歳で交通事故に遭って入院し、入院期間中に誕生日を迎えて13歳になるといった「連続して入院している事実がある」場合に限り、13歳に係る入院期間中も付添看護料が認められるといった特例があります。
完全看護を理由に付添費の支払いを断られました。諦めなければいけないのでしょうか?
病院の完全看護体制を理由に、付添費の支払いを断られるケースは少なくありません。 ですが、被害者が幼児や児童、高齢者の場合や、寝たきり、危篤状態が継続している場合には、近親者の付添費が認められる傾向にあります。 付添看護の必要性や妥当性を証明するために、具体的な看護活動を記録しておくなどの対応は非常に有効的ですので、ぜひ実践してみましょう。
子供が通院を嫌がり暴れたため、夫婦で仕事を休んで付き添いました。付添費は二人分請求できますか?
基本的には、付添費として認められるのは「一人分」です。そのため、ご質問のケースだと二人分の請求が認められる可能性は低いでしょう。 ただし、怪我の状態が深刻で24時間体制での付き添いが必要である場合などには、複数人分の付添費が認められるといったイレギュラーなこともあります。
交通事故の付き添いに関して、お困りでしたら弁護士にご相談ください
被害に遭われた大切なご家族に当たり前かのように付き添われている方も、その付き添いは「交通事故に遭わなければ不要だった負担・損害」であるという事実と向き合わなければなりません。付き添いの必要性や妥当性を主張・立証し、付添費として賠償を受けられるようにしましょう。 ただ一方で、何から動き出して良いかわからない方も多くいらっしゃると思います。そんなとき、交通事故事案の経験が豊富な弁護士への依頼が、問題解決の一助となります。付き添いの必要性や妥当性を立証するうえで医学的根拠を求められることも多いなか、弁護士法人ALGは、医療事業部との連携を図れる全国でも数少ない弁護士事務所です。付添費がプラスαで認められることで、示談金の増額が見込めます。さらには、付添費だけでなく、見逃しがちなその他の損害賠償費目においても、抜け目なく正当な金額で交渉を進められる可能性が高まるでしょう。 ご友人にお話しする感覚で十分ですので、まずはご相談から、お悩みや不安なご状況をお聴かせください。
交通事故被害者専用 相談窓口まずは交通事故の受付スタッフが丁寧にご対応いたします
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※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。