頚椎圧迫骨折の後遺症
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
交通事故で頚椎圧迫骨折を受傷した場合、その症状や治療方法、懸念される後遺症には、どのようなものがあるのでしょうか?また、治療費や慰謝料等を含めた損害賠償を、損することなく受けるためには、どうしたら良いのでしょう? そのような疑問にお応えすべく、ここでは「交通事故による頚椎圧迫骨折」の被害に遭われた方が、示談交渉において納得できるよう、特徴等を解説していきます。
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目次
頚椎圧迫骨折とは
頚椎とは、脊椎つまり背骨のうち、頚部にあたる7つの椎骨のことをいいます。頭を支えたり、動かしたり、肩や腕等の可動域の拡大に貢献するほか、様々な神経を存する頚髄(頚部の脊髄)を保護する役目を担っています。 頚椎が圧迫骨折することで、患部の骨はくさび上に変形し、頚部の痛みや違和感、首・肩・腕の可動域制限を生じる場合があります。重症のケースは、軽度の圧迫骨折に留まらず、破裂骨折に至ることで頚髄を損傷するリスクが高まり、激しい痛みや麻痺、痺れ等の症状が現れます。 頚椎圧迫骨折は、交通事故では比較的発症しにくく、受傷した場合は打ちどころが悪かったり、非常に大きな外力・衝撃を受けたりしたことを意味します。
頚椎圧迫骨折につながる事故原因
成人の頭の重さは、おおよそ体重の10%程度といわれています。その重たい頭や頭を支える頚部に大きな外力・衝撃が加わると、頚椎圧迫骨折を発症することがあります。具体的な受傷ケースとしては、車が大破したり、相手方が大型車だったりするような大きな事故の場合や、自転車乗車中や歩行中に車に衝突した場合等が挙げられます。他にも、ラグビーといった激しいスポーツや高所からプールへ飛び込む場合等に受傷することがあるようです。
症状
頚椎圧迫骨折を発症すると、自覚症状や他覚所見として、以下のような症状が現れます。心当たりのある方は、できるだけ早い段階で病院に行きましょう。
<自覚症状>
・頭頚部痛 ※激痛または鈍痛
・頭頚部、肩、腕等の可動域制限(痛みが伴うため)
・喉や首周りの違和感
<他覚所見>
・頭頚部の異常姿勢
・(複数箇所の骨折の場合)身長の低下
なお、破裂骨折で頚髄を損傷した場合、患部ではなく手に痛みや麻痺、痺れ等を自覚するようになります。
検査方法
事故による頚椎圧迫骨折の検査において重要なことは、「発症の有無・程度の確認」、「頚髄損傷の有無・程度の確認」「受傷からできるだけ早期の受診」です。これらは、治療においても示談交渉においても重要なポイントとなります。 具体的には、X線やCTで骨折・頚髄損傷の有無や程度を確認します。軽症の場合は、X線で所見できないケースもあるため、MRI検査が採択される場合もあります。
治療方法
頚椎圧迫骨折の治療方法は、原則、保存療法と長期的なリハビリです。なお、破裂骨折による頚髄損傷が認められるような重症の場合には、手術が施行されることがあります。 頚椎圧迫骨折の保存療法は、主にコルセット等の専用装具や頭蓋牽引による固定です。おおむね3~4週間程度で骨が癒合・形成され、本格的なリハビリが行われます。 頚椎圧迫骨折の手術は、折れた骨の再建よりも頚髄損傷の拡大予防が目的とされます。具体的には、プレートによる患部の固定、セメントによるもとの骨型への形成です。 痛みが軽減しない場合は薬物療法を併用する等して、とにかく安静に過ごし、回復状況に応じて適切なリハビリを行っていきます。
頚椎圧迫骨折のリハビリについて
頚椎圧迫骨折は、長期的な、回復状況に応じた適切な内容のリハビリが必要です。頚椎周辺には様々な神経があるため、過度なリハビリによってそれらを傷つけてしまうような二次的被害を避けることが何より重視されます。 一般的な頚椎圧迫骨折のリハビリは、体力・筋力の向上と、制限のあった可動域の改善のために行います。開始時期は、絶対安静期間経過後、固定期間に入ってからが多いです。 頚髄損傷等により麻痺の症状があるケースは、より慎重にリハビリを行います。長時間寝たきりの状態から急に体位を変えると生じるおそれのある脳貧血を予防するため、ゆっくりと体位を変えていくことからスタートします。 麻痺の程度が重度あるいは後遺症が残る懸念がある場合は、理学療法も併せて行います。
頚椎圧迫骨折を受傷した際、弁護士法人ALGができること
高度な医学論争に対応
特に後遺症が残った場合、事故と後遺症との因果関係や、受傷した頚椎圧迫骨折と後遺症との因果関係が問題になることが多く、医学的知識がなければ対応が困難です。交渉相手となる保険会社は顧問医を有しているため、医学的知識で劣ってしまうと、適切な対応ができません。 その点、我が国で初めて専門事業部制を取り入れた弁護士法人ALGは、医学博士も在籍する医療過誤事業部を有し、交通事故事業部との連携を図りながら事案に取り組むことが可能です。
治療や検査、リハビリについてのアドバイス
交通事故で頚椎圧迫骨折を負った場合、完治することが理想ですが、後遺症が残ってしまう可能性もあります。主治医は、治療方針は決めてくれますが、治療後の後遺障害等級認定のことまでは考えてくれません。そのため、後遺障害等級認定の申請時になって、必要な検査が行われていないことが判明し、資料が足りず、適切な等級認定が得られない場合があります。 この点、交通事故事案を多数取り扱う弁護士は、その豊富な経験から、後遺障害等級認定を見据えた的確なアドバイスをすることが可能です。
後遺障害等級認定の申請・異議申立て
後遺障害等級認定の申請をするうえで、保険会社や医師に任せきりでは適切な後遺障害等級認定が得られない場合があります。 実際に、弁護士が骨折箇所のX線・CT・MRI等の画像を見て主治医と協議する際、主治医が気にしていなかった点を指摘できることもあります。 後遺障害等級認定の申請や異議申立てを適切に行うには、主治医と協議し、より良い診断書を書いてもらうことが重要です。そのためには、医療問題に強い弁護士に依頼するのが良いでしょう。
示談交渉
頚椎圧迫骨折によって、重い後遺症が残った場合には裁判になる可能性が高いため、保険会社との示談交渉の際に、裁判をすることも辞さない構えをみせる必要があります。 裁判では医学論争になることもあるため、医療問題に精通していない弁護士では、示談交渉の場で「裁判をしましょう」と迫力のある主張をすることは困難です。 したがって、示談交渉においても、後遺障害等級認定の申請や異議申立てを行う場合と同様に、医療問題に強い弁護士に依頼すべきです。
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適切な後遺障害等級の認定を受けるために弁護士に依頼しましょう
無論、受傷した頚椎圧迫骨折は、治療やリハビリで完治することが望ましいです。その反面、後遺症が残ってしまう方もいらっしゃいます。貴重な時間を割きながら治療やリハビリを行ったにもかかわらず、後遺症を抱える結果になってしまうことは、この上なく辛く耐え難いことでしょう。 後遺症に対する賠償を適正に受けるためには、適切な後遺障害等級を取得する必要があります。そして、適切な後遺障害等級を取得するための効率的で確実な方法のひとつが、弁護士への依頼です。 弁護士法人ALGは、法律的・医学的知見をもって事案に介入できます。無料相談も受け付けておりますので、ぜひ一度お問い合せください。
残存する可能性のある後遺障害について
頚椎圧迫骨折で残存・認定される可能性のある後遺障害は、以下のとおりです。症状の程度に応じて、後遺障害等級が認定されることになります。
- 脊柱の一部である頚椎の変形障害
- 頚部の運動障害(可動域制限)
- 神経症状
頚髄の損傷が重度の場合や、適切な治療がなされなかった場合は、麻痺の症状が残ってしまう可能性もあります。
頚椎圧迫骨折の後遺障害等級
頚椎圧迫骨折によって認められる可能性のある後遺障害等級は、以下のとおりです。ここでは、神経症状と麻痺を除く「変形障害」「運動障害」に絞って紹介します。
後遺障害等級 | 障害の程度 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの |
第6級準用 | 頚部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
第8級準用 | 頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの(頚部の可動域の2分の1以下の制限) |
第8級準用 | 脊柱に中程度の変形を残すもの |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
それぞれ残存する症状の程度に該当する後遺障害等級が認められることになります。
頚椎圧迫骨折の治療に専念するために経験豊富な弁護士に相談しましょう
交通事故で受傷した頚椎圧迫骨折により生じる「今まで当たり前にできていたことができない」という葛藤や苦しみは、察して余りあるものです。そんな中、煩雑な手続や相手方とのやりとりという重荷を抱えてしまっては、心身ともに悪影響を及ぼす可能性があります。 思い切って、弁護士に任せてみるのはいかがでしょうか?弁護士法人ALGは、被害者の方の一番の味方となって、法的・医学的分野からサポートすることができます。弁護士に一任することで治療やリハビリに専念できる環境は、ご本人や周りの方々にとって、代替できない安心感を得られるでしょう。 少しでも迷いや疑問を抱えられているようでしたら、ぜひ弊所にその思いをお聴かせください。
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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。